ルネサンスとは
ルネサンスは「再生」という意味で、古代の文化の復活を目指すものです。
古代ギリシアや古代ローマの知識の延長に、様々な思想や芸術作品が生み出されました。
ルネサンスはイタリアで始まり、その後ヨーロッパ各地へ広がりました。
ルネサンスの背景①古典の流入
古代ギリシアや古代ローマの文献は、主にビザンツ帝国やイスラーム圏に残されていました。
これらの文献がイタリアに流入することが、ルネサンスのきっかけとなります。
ルネサンスの背景②パトロンの支援
パトロンとは、芸術家を金銭的に支援する人のことです。
このパトロンの功績があって、ルネサンスの芸術は成り立っていたのです。
パトロンの中では、以下の人々が知られています。
メディチ家
スフォルツァ家
エステ家
ゴンツァガ家
ローマ教皇
フランス王
メディチ家は、イタリアのフィレンツェの大富豪です。
スフォルツァ家はミラノ公、エステ家はフェラーラ公、ゴンツァガ家はマンドゥ君主で、それぞれイタリアの有力者でした。
ルネサンス期の文学者
ダンテ
1265年生まれ。
イタリア(フィレンツェ)の詩人。
俗語文学(ラテン語ではなく母国語などで書く文学)に挑戦した、ルネサンスの先駆者のひとり。
代表作は『神曲』。
ペトラルカ
1304年生まれ。
イタリア(フィレンツェ)の詩人。
ダンテに続いて、俗語であるトスカナ語で作品を残した。
代表作は『カンツォニエーレ』。
ジョヴァンニ・ボッカチオ
1313年生まれ。
イタリアの作家。
古代ギリシアの作家であるホメロスを再発見し、小説の基礎を作った。
代表作は『デカメロン』。
アンジェロ・ポリツィアーノ
1454年生まれ。
イタリアの詩人。
画家のボッティチェリとはプラトン学院の同級生だった。
ルドヴィコ・アリオスト
1474年生まれ。
イタリア(フィラーラ)の詩人。
騎士の物語を書いた。
代表作は『狂えるオルランド』
ジェフリー・チョーサー
1340年頃生まれ。
イギリスの詩人。
ボカッチオから影響を受け、作品を作った。
代表作は『カンタベリー物語』
フランソワ・ラブレー
1494年頃生まれ。
フランスの作家。
代表作は『ガルガンチュアとパンタグリュエルの物語』
ミゲル・デ・セルバンテス
1547年生まれ。
スペインの作家。
代表作は『ドン・キホーテ』
ウィリアム・シェークスピア
1564年生まれ。
イギリスの劇作家。
代表作は『ハムレット』、『オセロー』、『マクベス』、『リア王』の四大悲劇や『ヴェニスの商人』など。
ルネサンス期の思想家・哲学者
マキャヴェリ
1469年生まれ。
イタリア(フィレンツェ)の政治家、思想家。
イタリアが分裂状態にあることに問題意識を持ち、君主がどうあるべきかを考察した。
代表作は『君主論』。
エラスムス
1469年頃生まれ。
ネーデルランド出身の人文学者。
キリスト教会の腐敗を風刺し、宗教改革に影響を与えた。
代表作は『愚神礼賛』。
ミシェル・ド・モンテーニュ
1533年生まれ。
フランス人の哲学者。
代表作は『随想録(エセ―)』。
ルネサンス期の画家・彫刻家
ジョット
1266年頃生まれ
イタリア(フィレンツェ)の画家、建築家。
ルネサンスの先駆者のひとり。
代表作は「スクロヴェーニ礼拝堂壁画」、「聖フランチェスコの生涯」。
ファン・アイク兄弟
兄は1366年生まれ。弟は1380年生まれ。
フランドル地方の画家。
フランドル派という流派を創設した。
サンドロ・ボッティチェリ
1444年頃生まれ。
イタリア(フィレンツェ)の画家。
代表作は『春』『ヴィーナスの誕生』
レオナルド・ダ・ヴィンチ
1452年生まれ。
イタリア(フィレンツェ)の画家。
ルネサンスの三大巨匠のひとりで、科学や哲学などにも精通していた。
代表作は「モナ・リザ」、「最後の晩餐」。
アルブレヒト・デューラー
1471年生まれ。
ドイツの画家。
ドイツ人ながら、イタリアの絵画から影響を受けた。
代表作は「四人の使徒」、「メランコリア」。
ミケランジェロ・ブオナロッティ
1475年生まれ。
イタリアの彫刻家。
ルネサンスの三大巨匠のひとりで、建築家としてサン・ピエトロ大聖堂の制作にも携わった。
代表作は「天地創造」、「最後の審判」、「モーセ像」、「ダヴィデ像」。
ラファエロ・サンティ
1483年生まれ。
イタリアの画家。
ルネサンスの三大巨匠のひとり。
代表作は「アテネの学堂」。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
1488年生まれ。
イタリア(ヴェネツィア)の画家。
ジョルジョーネの弟子で、二人の合作として「田園の合奏」が知られる。
代表作は「ヴィーナスとオルガン」、「聖愛と俗愛」、「バッカスとアリアドネ」。
ベンヴェヌート・チェリーニ
1500年生まれ。
イタリア(フィレンツェ)の芸術家。
特に彫金を得意とした。
ブリューゲル
1528年生まれ。
フランドル派の画家。
代表作は、「謝肉祭と四句節の喧嘩」、「農民の踊り」。
エル・グレコ
1548年生まれ。
ギリシア人の画家。
イタリアで絵を学んだのち、スペインに渡って作品を作った。
ルネサンス期の建築家
レオン・バティスタ・アルベルティ
1404年生まれ。
イタリアの建築家。
最初の万能人と考えられる。
ブラマンテ
1444年生まれ。
イタリアの建築家。
サン・ピエトロ大聖堂の設計に携わった。
アンドレア・パラディオ
1508年生まれ。
イタリア(ヴェネツィア)の建築家。
著書として『ヴィトルヴィウス注釈』(バルバーロとの共著)、『建築論四巻』が知られる。
ルネサンス期の科学者
コペルニクス
1473年生まれ。
ポーランド出身の天文学者。
従来の天動説を否定し、地動説を提唱した。
主著は『天球回転論』。
パラケルスス
1493年生まれ。
スイス生まれの医者、金属学者。
人間の体を金属と結び付けて説明しようとした。
ジェロラモ・カルダーノ
1501年生まれ。
イタリアの医者、数学者、物理学者。
「カルダーノの公式」や「カルダーノの輪」が知られる。
ジョルダーノ・ブルーノ
1548年生まれ。
イタリア出身。
地動説を踏まえて、独自の宇宙論を展開した。
ブルーノの理論は、天動説を支持するキリスト教会と対立するため、1600年に処刑された。
ガリレオ・ガリレイ
1564年生まれ。
イタリア人の天文学者。
地動説を支持したため、キリスト教会によって終身刑となった。
ケプラー
1571年生まれ。
ドイツ人の天文学者。
地動説の延長に、ケプラーの法則を生み出した。
参考文献
樺山紘一『世界の歴史16 ルネサンスと地中海』中央公論新社,1996.
ロバーツ,J.M『図説世界の歴史5 東アジアと中世ヨーロッパ』池上俊一監修,月森左知・高橋宏訳,創元社,2003.
木村靖二・岸本美緒・小松久男編『詳説世界史研究』山川出版社,2017.
全国歴史教育研究協議会編『世界史用語集 改訂版』山川出版社,2018.
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