「カリフ」「スルタン」「アミール」をわかりやすく解説

目次

①カリフ

カリフとは

カリフとは、ムハンマドの後継者を意味します。

イスラーム世界の宗教的権威であり、初期の頃は政治権力を持ちました。

カリフになるためには、クライシュ族の出身であることが必要とされます。

代表的なカリフ

代表的なカリフとしては、4人の正統カリフ、そしてウマイヤ朝アッバース朝のカリフが挙げられます。

これらのカリフは、正統カリフ→ウマイヤ朝→アッバース朝と連続性があり、主要な系統と考えられます。

それ以外にも、後ウマイヤ朝ファーティマ朝オスマン帝国などでもカリフの称号が用いられました。

②スルタン

スルタンとは

スルタンとは、「支配者」を意味する言葉です。

11世紀頃からよく使われた称号で、政治面での最高権力者を表します。

宗教的権威であるカリフと世俗的権威のスルタンは、同時に存在する場合も多いです。

代表的なスルタン

初期の代表例としては、セルジューク朝のスルタンが挙げられます。

セルジューク朝のスルタンの称号は、アッバース朝のカリフから与えられたものでした。

その後は、アイユーブ朝マムルーク朝オスマン帝国などで、最高権力者を表す称号として用いられました。

③アミール

アミールとは

アミールとは、「将軍」を意味する言葉です。

一部のイスラーム王朝では、最高権力者を表す場合がありました。

代表的なアミール

代表的なものとして、ブワイフ朝の大アミールが知られています。

ブワイフ朝の大アミールは、アッバース朝のカリフから任命されたもので、実質的な最高権力者でした。

他には、初期の後ウマイヤ朝などで、アミールが最高権力者の称号として用いられました。



参考文献
佐藤次高編『宗教の世界史11 イスラームの歴史1イスラームの創始と展開』山川出版社,2010.
佐藤次高『世界の歴史8 イスラーム世界の興隆』中央公論社,1997.
永田雄三・羽田正『世界の歴史15 成熟のイスラーム社会』中央公論社,1998.
山内昌之『世界の歴史20 近代イスラームの挑戦』中央公論社,1996.
木村靖二・岸本美緒・小松久男編『詳説世界史研究』山川出版社,2017.
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