パクス・ロマーナとは
パクス・ロマーナとは、ローマ帝国が最も安定していた時期のことです。
時期としては、紀元前30年~紀元後180年です。
前史:内乱の1世紀
パクス・ロマーナの前、ローマは「内乱の1世紀」と呼ばれる混乱期でした。
パクス・ロマーナ史①元首政のはじまり/アウグストゥス
オクタウィアヌスは、内乱の1世紀を終結させました。
オクタウィアヌスは、アウグストゥスという名前を与えらました。(かつての「アウグストゥスは称号である」説は否定されているようです。¹)
アウグストゥスは、多数の公職を兼任し、事実上の皇帝となります。
パクス・ロマーナ史②五賢帝
五賢帝とは、パクス・ロマーナの中でも、特に安定した5人の皇帝を指します。
血縁関係のない5人の皇帝の統治により、パクス・ロマーナは全盛期を迎えます。
五賢帝①ネルウァ
ネルウァは、96年~98年の皇帝です。
ネルウァはかなり高齢だったため、皇帝になってから2年で死亡します。
五賢帝②トラヤヌス
トラヤスヌは、98年~117年の皇帝です。
トラヤヌスは、ダキア、メソポタミア、アッシリアなどを併合し、史上最大規模に領土を拡大しました。
五賢帝③ハドリアヌス
ハドリアヌスは、117年~138年の皇帝です。
ハドリアヌスは、属州巡りに長い時間を費やすなど、ローマを安定させるために尽力しました。
五賢帝④アントニヌス・ピウス
アントニヌス・ピウスは、138年~161年の皇帝です。
この時代はあまりに安定しすぎていたため、アントニヌス・ピウスは特に目立った功績がありません。
五賢帝⑤マルクス・アウレリウス・アントニヌス
マルクス・アウレリウス・アントニヌスは、161年~180年の皇帝です。
ルキウス・ウェルス(在位161年~169年)とともに皇帝となりました。
彼らの治世は、パルティア人やゲルマン人の侵入、疫病の発生が重なる苦難の時代でした。
3世紀の危機へ
マルクス・アントニヌス・アウレリウスの死後、再びローマは混乱していきます。
この混乱期は「3世紀の危機」と呼ばれます。
参考文献
桜井万里子・本村凌二『世界の歴史5ギリシアとローマ』中央公論社,1997.
松本宣郎編『世界歴史大系 イタリア史1 古代・初期中世』山川出版社,2021.
木村靖二・岸本美緒・小松久男編『詳説世界史研究』山川出版社,2017.
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註
¹松本宣郎編『世界歴史大系 イタリア史1 古代・初期中世』山川出版社,2021.