「内乱の1世紀」をわかりやすく解説

目次

内乱の1世紀とは

内乱の1世紀とは、古代ローマにおいて、戦争・反乱・有力者の殺害などが相次いで起こった混乱期です。

時期としては、紀元前2世紀末~紀元前1世紀末です。

前史:戦争

繰り返される戦争が原因となり、経済格差が拡大し、ローマ社会が混乱していきます。

内乱の1世紀①グラックス兄弟

グラックス兄弟は、ローマ社会の立て直しを目指しますが、失敗しました。

時期としては、紀元前133年~紀元前122年です。

これ以降、内乱の1世紀が始まります。

ティベリウス・グラックス

ティベリウス・グラックスは、紀元前133年の護民官です。

大土地の所有を禁止し、その土地を無職の人に分配する改革を行いました。

しかし改革を強引に進めたため、ティベリウスは殺されました。

ガイウス・グラックス

ガイウス・グラックスは、紀元前123年~紀元前122年の護民官です。

土地・穀物・市民権などの複数の分野で改革を目指しましたが、失敗しました。

最終的には、反対勢力によって自殺に追い込まれました。

内乱の1世紀②マリウスとスラ

グラックス兄弟の死後、マリウスとスラが相次いで権力を握ります。

時期としては、紀元前107年~紀元前79年です。

これは、平民派(民会を重視する派閥)と閥族派(元老院を重視する派閥)の争い時代でもあります。

マリウス

マリウスは、地方出身で、平民派の政治家です。

紀元前107年以降、繰り返しコンスルに就任し、権力を握りました。

紀元前88年、スラによって排除され、勢力回復を図るも死亡しました。

スラ

スラは、パトリキ(貴族)であり、閥族派の政治家です。

紀元前88年にコンスルとなり、マリウスとその協力者を排除しました。

紀元前83年に独裁官となり、元老院を中心とする政治を行いました。

内乱の1世紀③第1回三頭政治

ポンペイウス、クラッスス、カエサルが共同で政治を行いました。

時期としては、紀元前60年~紀元前44年です。(ポンペイウスとクラッススは、紀元前70年から権力を握っています)

ポンペイウス

ポンペイウスは、ローマの軍人です。

国内外の反乱の鎮圧で活躍し、紀元前70年にコンスルとなりました。

紀元前48年、ファルサロスの戦いでカエサルに敗北し、失脚します。

クラッスス

クラッススは、ローマの軍人です。

スパルタクスの反乱の鎮圧で活躍し、紀元前70年にコンスルとなりました。

紀元前53年、アルサケス朝パルティアとの戦いに敗北し、死亡しました。

カエサル

カエサルは、平民派(民会を重視する派閥)の政治家であり、軍人です。

紀元前59年にコンスルとなり、ポンペイウスとクラッススと共同で政治を行いました。

クラッススの死後、紀元前48年にポンペイウスを倒し、単独で権力を握ります。

しかし、紀元前44年に暗殺されました。

内乱の1世紀④第2回三頭政治

アントニウス・レピドゥス・オクタウィアヌスが共同で政治を行いました。

時期としては、紀元前43年~紀元前30年です。

アントニウス

アントニウスは、カエサルとともにコンスルに就いていた人物です。

紀元前30年、オクタウィアヌスに敗北し、失脚しました。

レピドゥス

レピドゥスは、カエサルが独裁官だった頃、副官だった人物です。

紀元前36年、オクタウィアヌスに排除されました。

オクタウィアヌス

オクタウィアヌスは、カエサルの後継者に指名されていた人物です。

紀元前36年、レピドゥスを排除します。

紀元前30年、アントニウスをアクティウムの海戦で倒し、単独で権力を握りました。(アントニウスに協力したプトレマイオス朝エジプトも滅亡しました。)

ローマ帝国へ

紀元前27年、オクタウィアヌスが元首となり、ローマ帝国の時代が始まります。



参考文献
桜井万里子・本村凌二『世界の歴史5ギリシアとローマ』中央公論社,1997.
松本宣郎編『世界歴史大系 イタリア史1 古代・初期中世』山川出版社,2021.
木村靖二・岸本美緒・小松久男編『詳説世界史研究』山川出版社,2017.
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